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ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡あまね氏ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡あまね氏

2022年2月24日 専門家インタビュー

未来の働き方はどう変わるべき? ITを活用した理想の中小企業像はこれだ!

【第3回】ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡あまね氏に聞く! コロナ禍の中小企業の現状と未来

インタビュー:あまねキャリア 代表取締役CEO 沢渡 あまね 氏

第1回では、中堅・中小企業がコロナ禍によるテレワークにどう対応したか、そして第2回ではITツール/デジタルツールにより中堅・中諸企業の業務がどのように変わったかについて解説していただきました。

最終回となる今回は、中堅・中小企業のデジタルワーク化は今後どのように発展していくのか、また近未来の理想的な中堅・中小企業はどのようなものなのかについてお聞きします。


ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡あまね氏
ワークスタイル&組織開発専門家 沢渡あまね氏

デジタルワークは新たな「勝ちパターン」の創出に必要不可欠

―――デジタルワーク化、働き方改革はなぜ必要なのでしょうか。

デジタルワーク化もワーケーションをはじめとする働き方改革も同様ですが、「固定化された環境から解放される」点がもっとも重要です。過去50年間、ともすると60年間、私たちは固定化された働き方で一定の成果を手にしてきました。言い換えれば、その状況に慣れ過ぎていたといえます。

しかし、その「勝ちパターン」はもはや限界を迎えつつあります。このことは世界の生産性指標やGDPの比較データからも明らかです。これまでのように同じ考えを持つ人が集まって、同じ環境で同じ景色を見ている状況で、はたして既存の問題が解決するのか、正しい価値のイノベーションが発生するのか、ということをぜひ再考していただきたいです。

もしこの考え方が正しいとすると、新たな「勝ちパターン」を生み出さなくてはなりません。そのためには固定化した考え方、固定化された景色、固定化したスキルから脱却しなければならない。じつは私はこれが「働き方改革」の正しい使い方だと思います。

ビジネスマンの写真
ビジネスマンの写真

現在の「働き方改革」の進捗度は25%

―――現在、働き方改革はどのくらい進展しているのでしょうか。

私は25%という言い方をしています。第1回で組織としての働き方改革には3点が必要だ、とお話ししましたが、個人としての働き方改革には「環境」「マインド」「スキル」「制度」の4点が必要だと思っています。「環境」はITツール/デジタルツールを活用できる事業環境を整備すること、「マインド」はこれまでの私たちの固定観念などの考え方をアップデートすること、「スキル」はITツール/デジタルツールを使いこなすスキルを身に付けること、そして「制度」は時間や場所などに関わらず働き方を認め、評価する制度です。

このうち、「環境」についてはだいぶ整ってきました。時間や場所にとらわれずに成果を出せるITツール/デジタルツールは多数開発されています。導入する気さえあれば環境を整えることは容易といえます。

ところが、「マインド」「スキル」「制度」については、日本ではまだまだ旧態依然に留まっている企業が多く、同調圧力、過去の既得権益を守ろうとする力が強い。そうした点から、環境は100%、その他の3点に関しては0%として「25%」という言い方をしています。

テレワーク中の男性
テレワーク中の男性

まず必要となるのは「マインドの変化」

―――100%に近づけるには、どのような取り組みが必要となるのでしょうか。

まずは「マインド」でしょうね。満員電車で毎日出勤する、オフィスに社員全員が集まっていると安心、というような意識は未だ根強くあり、通勤する/しないの間で、不可解な不公平論がまかり通っています。

職種によって効率的な働き方は違い、その方法は違って当然、というのが私の持論なのですが、感情的な面や既得権益、終身雇用制、横並び教育などが邪魔をしてこのような思考に囚われているのではないでしょうか。

また、ITツール/デジタルツールなど目に見えない分野への投資に消極的だった文化も影響していると思います。ITツール/デジタルツールは当初から「コスト削減のためのツール」の位置づけで、「利益を生むツール」としての意識は醸成されませんでした。そのため、導入時に理不尽な価格交渉が行われたり、導入費用は支払うけれども維持費は無料でやってくれ、などの不当な交渉が散見されました。特に地方都市はその色が強い。こうした交渉が常態化すると、その地方のIT企業の事業が成り立たなくなっていきます。そうなるとITエンジニアも地元で育たなくなりますので、私は折に触れて「目に見えるものなら誰でも評価できる、目に見えないものもしっかり評価するマネジメントに進化しよう」と主張して歩いています。

ミーティングの風景
ミーティングの風景

まずは「ペインポイント」に名前を付けよう

―――マインドの変化の次のステップは何でしょうか。

ぶっちゃけますと、世の中がデジタルワーク化について懐疑的な理由は、雲の上の話に聞こえるからではないでしょうか。私はデジタルワーク化の本質は業務上で障害を感じる「ペインポイント(問題や課題)」に名前を付けて解消していくことだと思っています。「ペインポイント」には経営者層のペインポイントもあれば、中間管理職のペインポイントも、現場のペインポイントもあります。これらをマーケティングに活用すれば収益が上がるかもしれないし、給料も上がるかもしれない。これらを愚直に収集し、ITツール/デジタルツールなどを活用して解決していく、というサイクルを回していくしかないのかな、と思っています。

社長が高価なドローンを購入したけれど何にも使えず業務は変わらなかった、などはよく耳にする例です。まずは各職場の「ペインポイント」を解消するために、社員のコミュニケーションスキル、マネジメントスキルの向上に投資してみてはいかがでしょうか。

PCに向かって仕事をする男性
PCに向かって仕事をする男性

中堅・中小企業、地方企業こそデジタル化のメリットが大きい

―――これからデジタルワーク化に取り組む企業に向けてメッセージをお願いします。

特に中堅・中小企業、地方企業にとって、デジタルワーク化はむしろチャンスなんです。

たとえば中堅・中小企業には企業規模によるハンデがあります。現在は企業規模が大きいほうが情報が集まりやすく、金銭的にもマンパワー的にもリソースに恵まれている。しかし、ITツール/デジタルツールをうまく活用して部署や組織といった「壁」を超えて中堅・中小企業同士がつながることができれば、こうしたハンデは克服できます。

また、地方企業には立地的なハンデがありますが、ITツール/デジタルツールを活用すれば距離という物理的な「壁」を超えることもできます。本来、リモートワーク導入のメリットは地方企業のほうが大きいはずですが、現時点では東京、大阪、名古屋など、大都市圏においてオンラインが当たり前になりつつあります。地方企業もこの動きに追随することで、新たな採用候補者や新たな顧客に出会えるチャンスも生まれます。

ITツール/デジタルツールは中堅・中小企業、地方企業が現状を変えることのできる強力な武器です。ですから「使わないでどうするの、デジタルワーク化しないともったいないよ」という話なんですよね。

最後になりますが、DX、デジタル化、働き方改革に従事している方に一言。改革や変革を経験することは一生の宝です。特に抵抗勢力に向き合いながら、トライ&エラーを繰り返しながら、自ら改革や変革を仕掛ける経験は、将来どこに行っても通用するスキルです。今日を楽しみ、人と関わることを楽しみ、人と違うやり方を楽しみ、デジタルワーク化に伴う越境を楽しんで欲しいな、と思います。

ダム際ワーキング実践中の沢渡あまね氏
ダム際ワーキング実践中の沢渡あまね氏

沢渡 あまね

作家/ワークスタイル&組織開発専門家。
あまねキャリア 代表取締役CEO/なないろのはな顧問・浜松ワークスタイルLab所長/NOKIOOアドバイザー/エイトレッド フェロー。
浜松/東京二重生活。経験職種 IT x 広報で組織の景色を変える支援をしている。これまで350以上の組織の改善・改革を支援。
著書『バリューサイクル・マネジメント』『どこでも成果を出す技術』(技術評論社)ほか。

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