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2021年9月30日 製品・サービス紹介

GIGAスクールのインターネット一斉接続の課題と解決のヒント

多くの学校が抱える接続遅延の問題は、ポイントを整理し対処しよう

令和2年度に整備されたGIGAスクール端末の利活用がスタートしました。8月の文部科学省の資料※1によると、全国の公立の小中学校96%を超える学校で利用が始まっているようです。

数百台~千台以上が一斉にインターネット接続するという負荷の高い条件で利用することとなり、当社では今まで予想のつかなかった問題の接続の遅延に関するご相談を数多く受けています。

今回は、いま多くの学校が抱える接続のお悩みと、その解決となるヒントを探っていきましょう。

  • *1
    出典:文部科学省:「(事務連絡)GIGAスクール構想に関する各種調査の結果等の公表について(令和3年8月30日)」(https://www.mext.go.jp/content/20210910-mxt_jogai02-000011648_001.pdf)「GIGAスクール構想の実現に向けた 校内通信ネットワーク環境等の状況について」の資料内「端末の利活用の開始状況」より抜粋
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「学校のインターネットが遅い」
「『Google Classroom』にログインできない」

まだ慣らし運転段階の学校も少なくないと想像しますが、利用が拡がるにつれ「一斉接続時のインターネットが繋がらない」「『Google Classroom』にログインできない」という切実な相談が増えています。

原因は複数にまたがるケースも多く一概にはいえないのですが、大きく分けると以下の4つの可能性が高く、ひとつずつ切り分けていく必要があります。

  1. ルータ(GW)より手前の校内LAN(無線LAN含む)
  2. ルータ自体の性能、もしくは設定値
  3. アクセス回線の状況(フレッツ光回線の共用状況など)
  4. IPoEサービス事業者(プロバイダ)のサービス内容

そんな中で2~4の原因について、利用するルータを見直すことで解決や原因分析のツールとして利用できる可能性があります。

今回は、普及率の高い※1「各学校から直接インターネットに抜ける場合でかつ、フレッツ光回線とIPoEを有効利用している場合」を想定し、お話しします。

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繋がらないのはルータの性能の問題?

ネットワーク関連の課題解決事例
出典:文部科学省:「GIGAスクール構想の実現に向けた通信ネットワークの 円滑な運用確保に係る対応について(通知)令和3年3月12日」(https://www.mext.go.jp/content/202103012-mxt_jogai01-000011648_007.pdf)別紙2「ネットワーク関連の課題解決事例」より抜粋

問題発生時に確認すると、既設ルータのCPUの性能不足が発生しているケースが多いようです。もしもチューニングで解決しないのであれば、現在のルータの性能が不足しているかもしれず、これを置き換えることで改善する可能性があります。

そんなときおすすめしたいのは、当社製品のIXルータ「UNIVERGE IX2235/2310」です。

現在、当社で把握している「ルータを利用した最もスピードの速い学校」は、700名を超える一斉接続で最大時800Mbps超えのスループットで、全員ロスなく運用できている事例がすでにあります。
(使用環境:「UNIVERGE IX2235」/ フレッツ光ギガライン / IPoE固定IPアドレス )

このデータはIPoEサービス事業者に計測してもらった情報で、おそらくベストエフォートのフレッツ光回線やIPoEサービス事業者の環境が良いエリアの学校といえますが、IXルータの性能のポテンシャルは少なくともここまであるということができます。

これは「NAPTのセッション数」といったインターネット接続に大きく関わる機能が同価格帯の他社のものより大きく※2(250,000セッション)、その他の負荷が同時に発生したとしても、ハードウェアとしても高機能であるためクリアできていると考えられます。

拠点ルータ機能比較
製品名(税別) 最大転送性能 VPN性能 最大セッション数
NEC 「UNIVERGE IX2235」
118,000円
2.0Gbps 1.3Gbps 250,000
A社拠点向けルータ
118,000円
2.0Gbps 1.5Gbps 65,534
B社拠点向けルータ
129,800円
約2Gbps 約650Mbps 20,000
C社拠点向けルータ
125,000円
2.0Gbps 1.9Gbps 65,535

ルータのWANポートのトラフィック状況は無料クラウド「NetMeister」から確認できる

もちろん先ほどの例ほどスピードが出ないケースもあります

原因の1つとして、光回線は分岐共用のベストエフォート契約であることが考えられます。都市部などでは時間によっては200Mbpsを切る学校もあり、もしかすると近隣の共用者との折衷によるものかもしれません。ほかにもIPoEサービス事業者(プロバイダ)との契約内容や上流の速度の問題も考えられます。

もし、同時刻にIPoEサービス事業者に協力してもらい、その値より大きいトラフィックがクラウドサービス「NetMeister(ネットマイスター)」から確認できれば、IXシリーズのWAN用ポートとIPoEサービス事業者の間で輻輳(ふくそう)していることが予測できます。

じつは大まかにですが、IXルータにはこの原因を探るのに役立つ機能が付いています。右のグラフのように「NetMeitster」からルータのWANポート(GE0)の直近のトラフィック状況を確認できるのです。

もしも一般的なIPoEサービスの期待値よりも低ければ、先ほどの「ルータ(GW)より手前の校内LAN(無線LAN)」に原因、逆に数百Mbpsあれば「ルータのWANポートより上流」に原因があるかもしれない、と予想ができます。

NetMeisterの「装置概要」画面

NetMeisterの画面

この場合フレッツ光回線そのものの環境が影響してると考えられ、回線自体や配線回りの見直しといった対策へ進められます。

あくまで簡易な切り分けにはなりますが、リモートから手軽に予測判断できるため、非常に便利な機能として多くのお客さまにご利用いただいています。

校内の一斉接続試験におけるコツ

すでに一斉接続試験を行った教育委員会もあり、結果NGだったケースも見られました。ただこれらの事例において、実際の試験内容を確認すると、「秒単位で時間を合わせて一斉にログインを実行する」などと実際の運用よりもかなり厳しい内容であったりします。

こういった試験は、最大負荷を判別できることは間違いないのですが、その最大負荷に耐えられるような機器はとても高額になりますので、ご購入されたネットワーク環境においては現実的な運用を考慮した内容で判断することが望ましいと考えています。

実際の授業では、少なくとも数秒から数分程度は分散されるはずですので、そういった近い試験を行うのがコツになります。なお当社の「UNIVERGE IX2235」は最大セッション数も多く、ほとんどのケースで実用的な性能を保持しています。また、大規模校では、将来のフレッツ光クロスを鑑みた上位の「UNIVERGE IX2310」も検討できます。

当社の事例でいえば、前述の学校でも700名超えの生徒が1名1Mbps換算以上の利用で快適に使えています。また、光回線やIPoEサービスのスループットやセッション不足の課題も「複数の光回線とそれと同数のIXルータを用いることで、フローにより負荷分散させること」で解決に導く方法があります。

今回はインターネットブレイクアウト方式でのフレッツ光回線の有効利用方法を主軸にお話ししましたが、「集約VPN型」や「将来のSINET6」接続の場合などにもIXルーターを活用した安価で高速なNGN-VPNが有効と考えています。

解決の方法は一つではなくケースによって接続を改善できる方法があります。それぞれの学校の状況に応じた最善策の検討をお手伝いできますので、お気軽にお問い合わせください。

タブレット端末を使った授業のイメージ
  • ※1
    参考出典:文部科学省「(事務連絡)GIGAスクール構想に関する各種調査の結果等の公表について(令和3年8月30日) 」(https://www.mext.go.jp/content/20210910-mxt_jogai02-000011648_001.pdf)
  • ※2
    参考出典:文部科学省「GIGAスクール構想の実現に向けた通信ネットワークの 円滑な運用確保に係る対応について(通知)令和3年3月12日」(https://www.mext.go.jp/content/202103012-mxt_jogai01-000011648_007.pdf)

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