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チェーン店のGoogleビジネスプロフィール活用について
プロデュース・アドバイザーとして約80社を手がけた飲食コンサルタントが語る「飲食店DX」について2023年06月27日 カテゴリ:コラム
執筆者:株式会社タベル 代表取締役 鈴木 正治氏
Googleビジネスプロフィールとは 注目される理由
Googleの検索エンジンはその精度と使いやすさから急速に広まり、日本でも「ググる(Googleで検索する)」という言葉が日常に定着するほど、生活に欠かせないツールの一つ。それはビジネスにも欠かせぬものとなり、昨今「Googleビジネスプロフィール」が注目を集めています。
Googleビジネスプロフィールとは、事業者が自分のビジネスの情報をオンライン上で表示するための無料情報管理ツールです。これによりGoogle検索やGoogleマップ検索上に店舗情報が可視化され、効果的にお店をアピールできると飲食業界でも注目、重要視されています。

注目される理由として、オンライン情報収集の一般化が挙げられます。現在ユーザーが情報を入手するためには、インターネット上での検索エンジンを利用するのがあたりまえ。つまり飲食店にとっての新規顧客獲得の機会も、オンライン上へとシフトしてきています。伴って、ローカル検索の重要性が高まっています。ユーザーは特定の地域や近隣の情報を探す際に、Google検索やGoogleマップ検索を利用することが増えてきました。そのため飲食店は、自身の存在(場所、営業時間、レビューや評価)をマップ上で正確にアピールすることが重要です。
次にコミュニケーション機能の充実。顧客とのコミュニケーションは、飲食店にとって最も重要な要素です。Googleビジネスプロフィールでは、飲食店と顧客が直接コミュニケーションを取れる機能が充実しており、一般的な評価に対する返信以外にも、質問や疑問に対し迅速に対応できるので、今の時代の顧客満足度向上につながっています。
従来の飲食店紹介サイトとの違いとGoogleビジネスプロフィールを導入するメリット
これまでのユーザーは、大手飲食店紹介サイトの口コミやレビューが情報収集の主な手段でした。そのため、飲食店はこれらのサイトに自社情報を登録して、レビューや評価を集めることが最も重要でした。当時は口コミやレビューの可視化された評価(ポイント)が高いお店が良いお店と判断され、それがある種のステータスともなっていました。
現在でも一部の飲食店やユーザーは飲食店紹介サイトを活用していますが、近年Googleビジネスプロフィールが急速に普及したことにより、活用率は相対的に低下してきています。
ではなぜ飲食店やユーザーはGoogleビジネスプロフィールを活用し始めたのでしょうか。
大きな理由としては、飲食店が無料で利用できるという手軽さ、そしてGoogleが使いやすさと便利さを追求し続け、ユーザーにとって活用しやすくなったという側面が相まったといえます。
Googleはアルゴリズムを定期的に改善し、よりシンプルで直感的なインターフェイスを追求、また検索履歴や興味に基づき、パーソナライズされた検索結果を提供する能力が向上しています。さらにモバイルユーザーに重視した環境を提供することで、求める情報をより手軽に入手できるようになった結果、世界中で利用される検索エンジンとなっています。近年では、知っているお店を調べたり友人に紹介するときは飲食店紹介サイトで、「〇〇駅近くのカフェ」や「〇〇市で有名な食事」など不特定な調べ方や、急な予定での地域店舗をリサーチする際にはGoogle検索で、などと使い分けも多く見える傾向です。
こうした情勢の中でGoogleビジネスプロフィールを導入する最大の利点は、ユーザーに対し信頼性と利便性の高い情報を提供できることです。店舗の存在を上手にアピールできれば、近隣の人々が簡単に自分の店舗を見つけられるようになります。最近ではオンラインでの予約や注文などの機能も充実し、その他にパフォーマンスデータや顧客行動データなどを活用すればマーケティング戦略を最適化できるため、顧客のニーズや嗜好を把握し、ターゲット層に合わせたプロモーションも可能となります。また大手紹介サイトに比べ、圧倒的にお店側がハンドリングしやすいのも利点の一つです。
飲食店がGoogleビジネスプロフィールを活用することは利便性と競争力を高め、新規顧客の獲得に向けて大いにメリットがあるといえるでしょう。

Googleビジネスプロフィールの活用術
Googleビジネスプロフィールを活用するには、ローカルSEO対策(MEO対策)の視点が重要です。MEOとはMap Engine Optimization(マップエンジン最適化)の略称で、どうすればマップ検索で自分の店舗が上位表示されるか、その対策を意味します。
ローカルSEO対策で重要な点を以下の4つに注目して述べたいと思います。
- 情報の正確な更新
- ビジュアルコンテンツの活用
- マルチチャネルの連携
- レビューの管理
自分の店舗をマップ検索の上位に上げるためには、先述の通り基本情報を定期的に更新し、常に最新情報を提供することが大切です。また店舗のアドレスなどマップ上での正確な位置情報の設定も、顧客が迷うことなく店舗に到着するため有効となります。
そしてビジュアルコンテンツも軽視はできません。魅力的な写真や動画は、顧客の関心を視覚的に引きつける要因です。お料理の写真だけでなく、店内の雰囲気を明確に伝える必要もあります。たとえば「この近くにゆっくりと落ち着けるカフェはないか」というユーザーに対しては、お料理がクローズアップされた写真よりも、お店の雰囲気やインテリアの写真が有効な場合があります。
また、他のマーケティングチャネルとの連携はGoogleビジネスプロフィールの特徴の一つであり、ローカルSEO対策にも重要です。ウェブサイトやソーシャルメディアとの連動で情報の一貫性を保てば、信頼性のイメージ構築にもつながります。
さらに顧客からのレビューや評価、質問などにも迅速に対応することで、お店としての誠実さを見せつつ、顧客との関係性を構築してリピーターも増やせるでしょう。
これらを常に対応、更新することで、近隣の人々がマップ検索した際に上位に表示されやすくなり、アクセス数の促進が期待できます。
またGoogleビジネスプロフィールの活用は、チェーン店としての情報マネジメント管理にも一役買います。私の知る多店舗展開をしている企業の実例では、店舗情報の一括管理で、イベントや特別なプロモーションの統一性を担保し、顧客の混乱回避に成功しました。そして地域ごとに段階的なプロモーションを実施し、地方都市の店舗で蓄積した顧客の反応やデータを、首都圏でのプロモーションに生かすことに成功。情報管理を店舗に任せず本部で一括管理することで、より戦略立てたプロモーションが可能となった事例です。またそれまで発生していた各店舗マネージャーなどへの連絡、更新時期の確認作業、発信、報告…という一連の情報管理負担を軽減させ、空いたリソースを顧客のレビューへの対応に充てることで、機会損失回避やクレーム対応の速度が飛躍的に伸び、顧客満足度と従業員エンゲージメントの向上にもつながりました。
Googleビジネスプロフィールはオンライン戦略の礎
私がよくお伝えしているのは「目の前のお客さまが全てではない」ということ。オンラインによる情報収集があたりまえとなった昨今、目の前のお客さま以外へのリーチがより重要になっています。Googleビジネスプロフィールはそのための基礎中の基礎として、私が経営に携わるお店には必ず導入を推奨しています。
店舗QSC(品質、サービス、清潔さ・身だしなみ)やスタッフの接遇、ブランディング、コンテンツの充実などが店舗の信頼や安全性を高めていた時代。そのパズルに「Googleビジネスプロフィール」という新たな1ピースが加わったのではないかと考えます。Googleビジネスプロフィールは今後の飲食店にとって不可欠な、オンライン上の顔といっても過言ではないでしょう。
株式会社タベル
代表取締役 鈴木 正治氏
調理人として4年、マネジメントで21年の25年飲食業界で従事。和食料亭(東京) で修行後にフレンチに転職。その後、数社にて店舗マネジメント、新店舗立ち上げなどの業務に従事。現場優先の視点でチームビルディング、店舗オペレーレーションの見直し、業態開発、プランニングによりケータリング事業や、ゼロから全国へ一斉に仕掛けたビアガーデンの基礎構築チームリーダーを担当。その後、フレンチレストランを開業。レストランの運営の傍ら大手企業のプロデュース、アドバイザーを手がける。
自社運営レストランを事業譲渡後、飲食店の経営戦略、運営、人事、企画に従事(最大従業員約400名をマネジメント) 海外事業部を立ち上げ、マネジメント後に帰国。現在フリーランスで大手企業から小規模店までを一貫してプロデュース、アドバイザーを請け負う。

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