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キーワードは「自助自立」
主体的に行動する人を増やす麺屋武蔵の人材育成

人気ラーメン店 麺屋武蔵 矢都木社長に聞く!コロナ禍での店舗生存戦略

2021年10月12日 カテゴリ:コラム

インタビュー:株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長 矢都木 二郎氏

1996年の創業以来、顧客体験を重視した経営を続けてきた麺屋武蔵。人材育成では、「自助自立」をキーワードに自分で考えて行動できるスタッフの育成を行っています。連載第3回目では、人材育成で重視していることや社内コミュニケーションについて、同社が導入するユニークな制度について聞きました。

独自メニューは店主を信頼して「試食しない」

同社が人材教育で重視しているのは、自分で学んで行動する「自助自立」の精神だと矢都木氏はいいます。

「働かされているという感覚ではなく、自分の意志で働くことを大切にしてほしいと思っています。極端にいえば、『店舗と麺屋武蔵のブランドを借りて、自分が稼いでる』くらいの気持ちで仕事をしてほしいですね」(矢都木氏)

株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長 矢都木 二郎氏

主体的に行動することを大切にする同社の方針がもっとも顕著に表れているのが店舗運営です。同社の国内店舗のうち、「ダブルブランド」とよばれる11店舗は、「麺屋武蔵」に加えてもうひとつの独自の屋号を掲げ、各店舗でしか食べることのできないオリジナルメニューを提供しています。

たとえば、吉祥寺の「麺屋武蔵 虎洞」では、自家製の「チャーシューソーセージ」が、神田の「麺屋武蔵 神山」では、豚バラ肉を蒸してタレに漬け込んだ後に焼き上げた「蒲焼きチャーシュー」がオリジナルの名物メニューとして人気です。

麺屋武蔵メニュー

「オリジナルメニューの開発では、店主同士が集まって相互に味をチェックすることもありますが、その場合も私が口を出すことはしません。私が食べてOKを出してしまったら、店舗ごとの違いを出せるようにした意味がなくなってしまうので、店主たちを信頼してお任せています」(矢都木氏)

メニュー以外の店舗運営に関することも基本的には各店舗に任せているものの、サービスレベルや清潔感のレベルなどに関しては厳しく基準を設けているそうです。

「店舗ごとにメニューが違うからこそ、お客さまが暖簾をくぐってから出るまでの体験や雰囲気の部分で『麺屋武蔵らしさ』を感じていただきたいと思っています」(矢都木氏)

社内コミュニケーションにはSNSを活用

雰囲気としての「麺屋武蔵らしさ」を共有するため、コロナ禍以前は毎週のように店主が集まって会議をしていたという同社ですが、リアルで集まるのが難しい状況になってからは、社内SNSを導入してスタッフ同士のコミュニケーションに活用しています。

「ちょうどコロナが始まった頃に社内SNSを導入したのですが、そのおかげで情報共有がスムーズになったと感じています。こちらからスタッフに読んでもらいたい情報を発信することもできますし、スタッフ同士も、店主だけでなく店舗で働く社員やアルバイトなども含めて皆で情報交換をしながらお互いのレベルを高めています」

働き方を自分で選ぶユニークな制度も導入

同社のユニークな取り組みのひとつに、社員が働く時間を自ら選べる制度があります。具体的には、1日の労働時間を「残業なし」「残業2時間」「残業3.5時間」の3種類から、月の休日日数を、「8日」「9日」「10日」3種類から希望に合わせて選ぶことができるしくみです。

勤務時間や休日日数は月ごとに変えることができるので、「妻が出産するので今月だけ少なくします」といった使い方をする人もいるのだとか。この制度を導入する狙いについて、矢都木氏は次のように話します。

「働く時間を自分で選べるアルバイトと、選べない社員の間でモチベーションに差が生じていると感じたことがきっかけで取り入れた制度で、すでに7〜8年続いています。働く時間を自分で決めることができれば、『やらされている感』を減らすことができますし、もっと働きたいと思っている人はその機会を得ることができます。独立を視野にしっかり稼ぎたいという人もいれば、休暇も大切にしながら働きたいという人もいるので、できる限り本人の意志を尊重できるようにしたいと考えています」

また、コロナ禍の現在は実現が難しいものの、以前はスタッフへの研修も積極的に実施していたそうです。

「海外の店舗と提携して、希望があった場合には現地へ研修に行けるようにしていました。現在は十分な研修ができていないので、それは課題ですね。とくに新人さんの研修には力を入れていたので、コロナが終息したらまた何かできたらいいなと思っています」(矢都木氏)

「自助自立」を重視し、スタッフを信頼する土壌があるからこそ、アイデアも生まれやすくなるのでしょう。そして、「信頼されている」という感覚を得られることが、スタッフのモチベーション向上にもつながっているのかもしれません。

同社では、今回紹介した店舗のオリジナルメニュー以外にも、さまざまなユニークな取り組みを行っています。他のラーメン店では実施していないような一風変わったチャレンジは、どのように生まれるのでしょうか?次回はその詳細にせまります。

株式会社麺屋武蔵
代表取締役社長 矢都木 二郎氏

株式会社麺屋武蔵 代表取締役社長 矢都木 二郎氏

2001年 麺屋武蔵に入社後、2013年「株式会社 麺屋武蔵」代表取締役 社長に就任。創業者、山田 雄のイズムを継承し、常に「革新的で上質」なラーメン店作りを目指す。ラーメン界の新しい取り組みとして、コラボレーション商品を多数提案、ロッテ、獺祭、などメジャーな所から、生産者や自治体など、マイナーな所まで、幅広くコラボレートして、多くの革新的なラーメンを生み出す。「チョコレートからフルーツまで、ラーメンにできない食材はない」と豪語する。「ラーメンの無限の可能性に挑戦する男」ラーメンの創作活動の傍、経営者として、業界の職種的地位向上に尽力。職場環境、待遇の積極的改善、「料理ボランティアの会」を通じてのボランティア活動などを積極的に行っている。

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