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今を乗り切るために知っておきたい融資制度と支援制度

【新型コロナウイルス対策】

2020年05月12日 カテゴリ:コラム

執筆者:月刊飲食店経営 毛利 英昭

  • 本コラムは2020年5月12日現在の情報をもとに掲載しています。

5月4日、緊急事態宣言延長が表明されました。まだ我々を苦しめるのか…と嘆きたくもなりますが、今は短期集中的に感染拡大防止に取り組み、一刻も早く収束の時を迎えられるように全国民が協力しなくてはなりません。

飲食店にとって目下の課題は、店を存続させるための資金繰りと、仕事の仕方やライフスタイルが一変するであろう、アフターコロナでのビジネスのあり方です。

今回は、知っておいて頂きたい新型コロナウイルス対策に関係する給付金と融資制度、そして営業自粛要請に協力した事業者への協力金などの支援制度について紹介します。

TAKE OUT OKの店舗
 

持続化給付金を受け取ろう

まず、5月1日からはじまった持続化給付金を確認しましょう。持続化給付金は、感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業全般で広く使える給付金です。

給付額は、法人は200万円、個人事業主では100万円で、新型コロナウイルス感染症の影響で、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者が対象となります。

具体的には、前年の総売上(事業収入) - (前年同月比▲50%月の売上×12ヶ月)で計算します。

申請には、

  1. 2019年の確定申告書類の控え
  2. 売上減少となった月の売上台帳の写し
  3. 預金通帳の写し

の3点が必要です。

個人事業主の場合は、加えて運転免許証などの身分証明書の写しを準備して下さい。 申請は、「持続化給付金ホームページ」から行い、2週間程で給付通知書が届き、指定口座に給付金が入金されることになっています。 詳しい申請方法については、経済産業省の new window「持続化給付金に関するお知らせ」に分かりやすくまとめられています。

感染拡大防止協力金や給付金を申し込む

政府が、5月4日に緊急事態宣言を5月31日まで延長することを決定したことで、東京都はいち早く休業や営業時間短縮の継続を表明しました。それに合わせて、「感染防止協力金」の追加を決め、すでに支給を決めた分と同様に、1店舗50万円、複数店舗の場合は100万円の協力金を支給することになりました。

new window「東京都感染拡大防止協力金のご案内」に申込み受け付け要項など説明があります。事業者自身が行うことも出来ますが、東京都は書類の不備をなくし申請がスムーズに受けられるように、税理士や公認会計士、中小企業診断士などの専門家の確認を受けることを薦めています。

尚、申請出来るのは、

  1. 「基本的に休止を要請する施設」に属し休止を要請されている施設
  2. 「施設の種別によっては休業を要請する施設」に属し休止を要請されている施設
  3. 「社会生活を維持するうえで必要な施設」の内、「食事提供施設」に属し営業時間短縮の協力を要請されている施設

のいずれかに該当する中小企業及び個人事業主です。 また、5月5日に調べた時点で、約90の県や市と町で同様の協力金あるいは給付金がありますので、該当する方は必ずチェックして申し込みましょう。

3つの融資制度

新型コロナウイルスの影響を受けている方が、融資を受ける際に是非知っておいて頂きたいのが3つの融資制度です。

一つは、自治体が中小企業の資金調達などを支援するために、信用保証協会、金融機関と連携して設けている制度で、低金利での借り入れや据置期間を長くとれるなどメリットがあります。 また、あっせん融資では、自治体からあっせん書の交付を受けることで、金融機関から低利で融資を受けることができます。事業所のある都道府県や市町のホームページを確認ください。

融資制度の紹介
 

そして、飲食店が最も頼りにしている金融機関一つに政府系金融機関の日本政策金融公庫があります。現在、同公庫のホームページトップには、new window「新型コロナウイルスに関する相談窓口のご案内」が出ていて、融資を受ける際に必要な提出書類や、申し込み手続きをすぐに確認できます。

最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している事業者は、「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」を是非チェックして下さい。融資限度額6,000万円、運転資金であれば返済期間は15年以内で、最長5年の据置期間で申し込むことが出来ます。

さらに、特別利子補給制度を併用することで、実質無利子で借り入れることが出来ます。 手続きは意外と簡単です。特にこれまで融資を受けた実績があれば、簡単な借入申込書の記入と2期分の確定申告書・決算書のコピー、そして新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書というフォームに、直近1ヵ月の売上高と前年同期の売上高を記入して提出するだけで済みます。

現在、申し込みが殺到しており、書類を提出して審査が通った後に、正式な借用証書など提出してから、最短でも3週間はかかるようです。いくつか条件はあるものの、実質無利息であり、据置期間も長いので、多少資金に余裕がある事業者でも、アフターコロナに備えて借り入れておいても良いかと思います。

三つ目は、民間金融機関の融資制度の利用です。融資を受ける際には、セーフティネット保証(経営安定関連保証)をチェックしましょう。今回の営業自粛要請などで経営の安定に支障をきたしている中小企業が、市町村の認定を受けることで、一般保証とは別枠で融資を受けることができる保証制度で、新型コロナウイルス関連ではセーフティネット4号、5号があります。一般保証とは別枠で最大2億8,000万円を利用できる保証制度です。 事業所のある地域の保証協会や市町村のホームページを確認して下さい。

店外食に活路を見いだす飲食店を支援

飲食店のイメージ図
 

3密の場になると営業時間の短縮などを求められ、本来の店内サービスでの売上確保が難しくなる中、打開策として注目されているのがテイクアウトとデリバリーです。 すぐに始められるのではと思われがちですが、テイクアウトやデリバリーに適した商品作りや容器選びだけでなく、宣伝や宅配業者を利用する場合の初期費用など経費も掛かります。

東京都では、都内中小飲食事業者が、テイクアウト・デリバリーを新たに始める飲食店に対し、「業態転換支援(新型コロナウイルス感染症緊急対策)事業」として、最大100万円(助成率は対象経費の5分の4以内)の初期費用を助成する支援策を始めました。 また、広島県では「テイクアウト・デリバリー参入促進事業」を、石川県小松市でも「小松市デリバリー・テイクアウト推進事業助成金」を創設するなど、地方にもこうした支援策が広がっています。

店外食については、アフターコロナで働き方やライフスタイルも大きく変わると予想される中、飲食店が継続して取り組む必要のある課題とされており、現状打破と合わせて検討中の飲食店の皆さんは、見逃さずに活用したい制度です。

以上、今回は、新型コロナウイルスの影響によって、苦悩する飲食店の皆様への支援策として、給付金、協力金そして融資制度や助成について紹介しました。 ほかにも、厚生労働省は、雇用調整助成金の特例措置を更に拡充し、休業手当の支払率60%超の部分または、一定の要件を満たす場合に休業手当全体の助成率を特例的に10/10にするといった支援策も出ています。

こうした制度については、待っていても自治体や金融機関から案内は来ません。自ら情報を探すようにして頂ければと思います。

月刊飲食店経営 毛利 英昭氏

コンサルティング会社に16年間在籍後、2007年4月に独立し(株)アール・アイ・シー設立。外食・小売業界を中心に業務改善やシステム構築分野のコンサルティングと社員教育などを中心に活動。
2015年に商業界から、「月刊飲食店経営」「月刊コンビニ」の出版事業を引き継ぎ、現在は編集長を兼務している。

月刊飲食店経営 毛利 英昭氏

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