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繁盛を決めるコンセプトづくり

ラーメン業界に学ぶ! 外食業界コラム

2019年12月11日 カテゴリ:コラム

執筆者:株式会社繁盛塾 木村 康宏

ラーメン店を中心に数多くの繁盛店を手掛けてきた中で、繁盛店を作るための活動として「いかに上手に売るか」よりも「いかにお店の存在意義を高めるか」という取り組みが大きな成果を生むことがわかってきました。この「存在意義」とは「あなたの店があることによって、社会やその地域にどんなメリットがあるのか?」ということです。

この存在意義を踏まえて「この店はこんな価値を提供する店」と定義づけるのが「コンセプト」というものです。このコンセプトを聞いたときに「それは行きたい!」と感じるお客様が来店し、その数によって繁盛が決まってくるのです。つまりコンセプトが繁盛店を作るといっても過言ではないのです。

ラーメン屋の店員と客
 

コンセプトが繁盛を決める

「すべてのマーケティングはターゲティングから始まる」と言われます。つまり、どのような客層を狙うのかを決めることが、マーケティングを構築する上で最初に取り組むテーマなのです。店は「地域の中の一軒」としての存在と、「お客様の選択肢の中の一軒」という存在として成立します。つまり、「どこに住んでいる人を狙うのか?」+「どんな客層を狙うのか?」=「お客様にとって自店に行く理由は何か?」=「コンセプト」を決めることが「店を作る」という行為そのものと言っても過言ではないのです。

この「コンセプト」を商品や店舗、人財(接客・オペレーション)という目に見える「表現」として形にしていくことで、一貫性のある店づくりをすることが可能になるのです。

コンセプト構築の流れ

コンセプトを構築するためには、【1】地域を知ること、【2】顧客を知ること、【3】競合他店を知ること、【4】自店を知ること、という4つの切り口から構築していきます。

  • 【1】地域を知る
      その地域はどのような地域か?(人口・商業など各種データ、地理的特性など)
  • 【2】顧客を知る
      その地域で活動・飲食している人はどのような人か?(人の流れ、客層、ニーズの把握)
  • 【3】競合他店を知る
      どのような店があり、どのような成果を上げているか?(競合店の分布、強み弱みの把握、各店の売上予測、客層の把握)
  • 【4】自店を知る
      自店はどのような強みがあり、どのような目標を設定しているか?

最初は地域とお客様を把握するための調査から入ります。これがターゲティング設定において非常に価値のある活動となり、この把握を怠るとマーケティングの第一歩であるターゲティングが不十分になり、ドミノ式にマーケティングが崩れていきます。私どもがコンサルティングをする場合には2~3日地域に張り付いて、専門家として設定している調査ポイントを重点的に調査することで、精度の高い繁盛店設計を実現しています。

「この場所に」「この客層のお客様が」「他の競合店ではなく自店に来る理由」を要素として一気に書き出します。これを「来店キーワード」といいます。来店キーワードは実現可能かどうかは一切脇に置いて、「この要素があればお客様が来てくれる」という要素を箇条書きしていきます。この来店キーワードこそが「自店が叶えるべきお客様のニーズ」となります。

しかし「お客様が喜んでいれば、自社はどうなってもいい」という自虐的なビジネスモデルは長く続きません。よって、「お客様のニーズ」と「自店のニーズ(強み・目標)」の合致点を見つけ、それを「自店が満たすべきお客様のニーズ」=「存在意義」=「コンセプト」として明文化します。こうしてコンセプトが構築できるのです。

ここまでくれば商品づくり・人づくり・店づくりの方向性がドミノ式に決まります。「この地域はファミリー向けの店ばかりで労働者向けの店がない。だから「働き終わった男性達がガッツリ食べられる「男の食堂」を作ろう」」となれば、それをコンセプトに据えることで、「商品は家庭的な味で、ボリュームは総量700g以上が基本」「店は汚れた服装でも入りやすい雰囲気で、入口には大きな洗面台を用意して手や顔を洗えるようにする」「接客は私服にエプロンの女性スタッフが担当。お帰りの際の「ありがとうございます」は禁止で「行ってらっしゃい」が基本」などドミノ式に決まるのです。

このように、コンセプトの設定から取り組んだ店づくりをすることで、お客様の深いニーズに根ざした「長く売れる繁盛店」を作ることができるのです。

指を指すイメージ
 
株式会社繁盛塾 代表取締役社長 代表コンサルタント 木村 康宏氏

株式会社繁盛塾
代表取締役社長 代表コンサルタント 木村 康宏氏

学習院大学経済学部卒。経営コンサルティング大手の(株)船井総合研究所にてラーメン業界のコンサルティングを立ち上げ、チーフコンサルタントなどを歴任。2010年、ラーメン業界専門のコンサルティング会社として(株)繁盛塾を設立。19年間にわたりラーメン店を専門とし活動を続けてきた、経営・繁盛店づくりの スペシャリスト。日本全国各地の店を支援し、その顧客の多くが地域を代表する繁盛店になり、上場を達成した会社も多数。これまで経営に携わったラーメン店は550社2,800店舗以上。業績アップ成功率は95%以上と圧倒的な実績を誇る。

専門書「日本の専門コンサルタント50」(日本コンサルティング推進機構)において、 日本の専門コンサルタント50人の中の1人として紹介されたほか、ソフトバンクグループ孫正義社長の後継経営者養成選抜組織である「ソフトバンクアカデミア」 3.5期生(選抜枠)として突破率1%の中で選抜されるなど、業界を代表する実力派。著書に「1日300人が行列する人気ラーメン店のつくり方」(同文舘出版)「ラーメン 屋の看板娘が経営コンサルタントと手を組んだら」(幻冬舎)がある。

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