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クラウド型統合管理サービス NetMeister久留米市教育委員会 様

授業での端末一斉利用でもストレスなく接続できる学習インターネット環境を実現
先進的なICT授業を支える校内LAN整備の秘訣とは

業種:地方公共団体・官庁  業務:ICT管理・運用 その他業務  製品:NetMeisterUNIVERGE IXシリーズUNIVERGE QXシリーズNA1500A

事例の概要

課題背景

  • 1校につきPC40台の有線接続でも通信障害が頻発。数百台が一斉に無線接続するGIGAスクール環境においても快適なネットワークを整備したい
  • 年間数百件に達する通信障害の現地対応を抑え、早期解決が見込めるクラウドを活用した遠隔監視・保守により、授業への影響や管理業務の負担を軽減したい
  • 将来的な校務系ネットワークの再構築に向け、クラウドによるネットワークや機器の一元管理体制を低コストで実現したい

成果

導入したすべての教室でスムーズなデジタル授業を実現

64校・延べ1,500教室に無線LANのアクセスポイントを設置。導入時に起こりやすい電波干渉やローミングトラブルもクラウド型統合管理サービスNetMeister(ネットマイスター)による遠隔からの設定調整で解消し、最適なネットワーク環境を整備

万が一の装置トラブルも遠隔から障害対応が可能

NetMeister(ネットマイスター)により教育センターから各学校の状況を確認可能に。障害原因を予測し遠隔から障害対応や設定変更ができるようになり障害対応のスピードが格段に向上。現場への出動回数も約1/100に削減され、ランニングコストを抑えつつ永続的な遠隔調整を実現

複数ネットワークの一本化を視野に入れた管理体制をクラウドで実現

安定性の高い学習系ネットワークを構築したことで、校務系ネットワークとの連携による包括的な教育ネットワークの実現や、災害用SSIDの導入など久留米市全体におけるネットワーク体制強化に寄与

システムイメージ

システムイメージ図

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事例の詳細

導入前の背景や課題

GIGAスクール構想前から検討

九州一の大河・筑後川と耳納連山に育まれた、自然豊かな「ほとめきの街」・福岡県久留米市。フルーツに久留米ラーメン、日本三大酒どころの一つという「食」、多くの芸術家や芸能人を輩出している「文化芸術」、全国トップクラスの医師数を誇る「医療」、久留米絣やゴム産業で発展してきた「ものづくり」の拠点として、九州の中でもバランスのとれた魅力あふれる地域です。

久留米市教育委員会では、2018年頃から関係課の担当者を集める形でプロジェクトチームを組成し、デジタル授業の導入について調査研究を進めていました。その後、2019年12月のGIGAスクール構想の発表を受け、同チームのメンバーが主体となる形で2020年度に教育ICT推進課が新設され、GIGAスクール体制の整備に取り組んでいます。

ネットワーク全体の管理不足が課題

久留米市教育委員会 教育部 教育ICT推進課 主幹 新村 敏 氏
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
主幹
新村 敏氏

久留米市教育委員会では、2016~2017年にデータ集約型・有線LAN環境による校務系ネットワークを整備し、市内64校の管理諸室・普通教室・特別教室・PC教室で端末を運用してきました。しかし、データセンターに集約されるデータ通信がボトルネックとなり、インターネット検索やデータ保存さえもできない、複数校同時使用ができないなど、大小含めたトラブルが多発。また年度替わりの時期には、職員室の配置換えに伴う配線のつなぎ直しなどに起因する不具合も多かったといいます。発生したトラブル件数は、1年間でおよそ数百件。その都度学校から連絡を受けないと対応できないうえに、現地でしか原因がわからないため、広い市域に点在する全校をフォローするには運用保守に要する時間と労力が大きな負担となっていました。

そういった状況の中で、2019年12月に文部科学省からGIGAスクール構想が示されました。現状のネットワークに児童・生徒1人1台、全教室にWi-Fi環境を整備すれば、トラブルが激増することは必至。デジタル授業がスムーズに行える環境を整備するためには、学校の情報通信ネットワーク環境を全面的に見直す必要がありました。久留米市教育委員会 教育部 教育ICT推進課 主幹 新村 敏氏は「従来の情報通信ネットワークで運用するとの議論もありましたが、それだとGIGAスクール環境が立ち行かないことがわかっていましたし、そもそもネットワーク全体の十分な管理ができていないという潜在的な課題がありました。GIGAスクール環境を適切に運用するための必要なネットワーク環境を考えた結果、従来のネットワークとは別に学習系ネットワークを新たに整備することにしました」と説明します。

クラウドによるネットワークの一元管理を前提に

久留米市教育委員会 教育部 教育ICT推進課 宮原 知行 氏
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
宮原 知行氏

すでにプロジェクトチームでは、校務支援システムや認証システムなど、ネットワークごとの個別アカウントや端末をどのように管理していくのか、そのためにどういった管理体制が必要か、という根本的な部分について検討・議論を重ねていました。管轄する64校は、教職員約2,000人、児童生徒約2万5,000人の規模があるなか、各ネットワーク機器や端末、アカウントなどをバラバラに管理運用するのでは、あまりにも負担が大きくなります。「別々に運用管理することは現実的な方法ではありませんし、実務を考えれば上流側での管理を徹底し、基礎土台としてクラウドで一元管理することが妥当だということを、検討メンバーの共通認識として持っていました」と、同課 宮原 知行氏は話します。

選択のポイント

プロポーザル前の動作確認テストを仕様書に

今回のGIGAスクール対応ネットワーク構築に伴うプロポーザル(企画競争)の条件では、ローカルブレイクアウトによるダイレクトインターネットアクセス方式※1や、ネットワークのクラウドでの一元管理を前提とし、仕様書には①統一メーカによる機器選定、②スター型※2を軸としたネットワーク接続形態、③10ギガ対応の配線仕様と接続テストによる動作確認――を提示しました。機器類が故障した場合でも被害を最小限に抑え、授業に影響を及ぼさないようなネットワークであることは当然ですが、「導入後にトラブルがあってから稼働テスト、では現場への影響が大きいので、プロポーザル時に動作確認が終了していることを必須としました」(宮原氏)。文部科学省の方針に先駆けた形ですが、導入後の稼働を担保するためには欠かせない条件だったといいます。

  • ※1
    各学校の通信機器から、教育センターを経由せず、直接インターネットやクラウドにアクセスするネットワーク構成
  • ※2
    集線装置(ハブ)を起点に、複数の機器を放射状に接続するネットワーク構成

条件を満たすだけでなく、高い理解度が決め手に

プロポーザルの結果、一般家庭でも利用されている光回線により回線費用を抑えつつ、回線性能をフルに引き出すことができる「UNIVERGE IX2235」とクラウド型統合管理サービスNetMeister(ネットマイスター)を活用したシステム、さらにNetMeisterに対応するLANスイッチUNIVERGE QXシリーズと無線アクセスポイントNA1500Aが選定されました。NetMeisterは、文部科学省が原則として提唱するクラウドを第一選択肢とする方針に適合した理想のネットワーク管理形態であること、またセッション処理能力の高いIXルータによってインターネット一斉接続を可能にする、という性能面の評価が高かったといいます。「クラウドによる一元管理を明確に打ち出していたことへの信頼性に加え、一元管理を目指す背景を理解したうえでの高性能な機器構成と実現性の高い円滑運用の提案であったことが大きかった」と、宮原氏は振り返ります。

導入の成果

ネットワーク関連のトラブルが激減

久留米市教育委員会 教育部 教育ICT推進課 荒巻 亮壱 氏
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
荒巻 亮壱氏

2020年度末の導入開始以降、64校・延べ1,500教室にアクセスポイントの設置工事とネットワーク関連機器の導入を実施。これまでにネットワーク関連の大きなトラブルが発生することはなく、デジタル授業もスムーズに行えています。今ではメンテナンスなどで利用制限が生じるだけで「なぜ使えないのか」と教育現場から大きな不満が出るほどに。安定したインターネット環境が整ったことで、ICTを活用した「新しい授業スタイル」が定着しました。

2022年度には現場対応が必要なトラブルは4件のみと、導入前の数百件から激減。さらに、NetMeister(ネットマイスター)によってクラウド上での障害対応や設定変更が可能になったことで、「トラブル箇所や原因がピンポイントで把握できるうえ、現場側が気付く前に運用保守対応できるようになりました。現場に出向くことなく解決できる場合も多く、移動・作業時間が大幅に軽減されています」と、同課 荒巻 亮壱氏は指摘します。学習系環境の運用保守が追加されるなかで従前と変わらず2人体制ですが、「業務としては1.5人レベルで対応できています」(同氏)。余裕が生まれた分で、これまで手が付けられなかったプラスαの部分にも着手できるようになりました。

データ通信をより高速化するため、2022年秋にはGIGAスクールに特化した教育機関専用プロバイダサービスを活用し、動画の同時再生等の実証実験を行い、2023年夏までに全64校の切り替えを完了、さらに快適なデジタル授業環境を実現しています。

PCでNetMeisterの画面操作をしているようす
NetMeisterを活用し、クラウド上で障害対応や設定変更

更新時期に活きるZTP機能

導入後に改めてメリットを認識したのが、UNIVERGE IXシリーズに搭載されているZTP(ゼロタッチプロビジョニング)機能だといいます。事前に設定をNetMeister(ネットマイスター)に登録しておけば、現地で機器を接続・電源を入れるだけで自動的に設定が反映されるため、設置作業においても高度な知識や技術を持つSEが行う必要はなく、人員や時間をさらに軽減することができます。宮原氏は、「もし経年劣化による故障が起きたとしても同機能を搭載した新規機器と交換するだけで、NetMeisterが自動的に再設定をしてくれる。つまり“次回更新も効率的に行える”ということが大きな気付きでした」と話します。

拡張を視野に入れたネットワークを構築

今回、アクセスポイント(NA1500A)は、各学校の普通教室と特別教室、体育館に1台ずつ設置しました。さらに体育館については、災害時の避難所として使用することを想定し、NetMeister(ネットマイスター)から災害用SSIDを一括で開放可能な「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」機能を導入と同時に有効化しました。「災害対策として、久留米市としても対応の幅を広げることができたと思います」(新村氏)。実際に、2023年7月に九州各地で発生した豪雨災害の際、避難所になった学校でこの災害用SSIDが利用されました。

無線LANアクセスポイント NA1500Aが設置されている様子
導入機器:アクセスポイント NA1500A

校務系ネットワークの統合

久留米市教育委員会 教育部 教育ICT推進課 池尻 陽子 氏
久留米市教育委員会
教育部 教育ICT推進課
池尻 陽子氏

GIGAスクール構想で利用する端末はChromebookを採用することで、ゼロトラストセキュリティ環境下での高速・安定稼働が担保されています。2020年2月、久留米市はGoogle for Educationパートナー自治体プログラムに参画しました。安定したICT環境が構築され、先進的な取り組みが可能な自治体であることが証明されたともいえます。

さらに、安定的な学習系ネットワークが構築できたことを受け、久留米市教育委員会様では2024年4月をめどに、同ネットワークに統合する形で校務系ネットワークの再構築を推進中です。同課 池尻 陽子氏は「教育現場にICTが入ったことで、教職員は従来とは異なる業務が増えています。校務系ネットワークを再整備することで、現場の負担軽減につなげていきたい」と意欲を示します。宮原氏も、「一元管理へのこだわりは、管理・運用保守面での時間の有効活用、現場の負担軽減化のためです。これらは、単体管理では成立しません。一元管理だからこそ、最終的に働き方改革につながり、児童・生徒の個別最適化学習の実現にもリンクすると考えています」とし、GIGAスクール構想の実現と併せて包括的な教育ネットワークの構築を目指しています。

久留米市教育委員会のみなさま
今回ご協力いただいた久留米市教育委員会のみなさま

お客様プロフィール

久留米市教育委員会

所在地 〒830-0051
福岡県久留米市南1丁目8-1
URL new windowhttps://www.city.kurume.fukuoka.jp/1060manabi/2020kyouiku/

久留米市教育委員会の外観

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(2023年10月26日)

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