アルマーク株式会社様 : 組込み・開発生産受託 : 導入事例

小型ルータ＋閉域網により、制約が多い製造現場でもセキュアでストレスフリーなネットワーク環境を実現

業種：卸売・小売業・飲食店　業務：営業・販売保守・サービス　製品：LTE/3G対応M2Mアダプタ

事例の概要

課題背景

クラウドを利用した新サービス実現のため、小型ルータを導入したい
顧客が安心できるネットワークセキュリティ環境を実現したい
低価格でありながら、技術・製品に信頼感がある機器を導入したい

成果

カードサイズでプリンタに直接取り付けでき、価格面も予算内に

小型なカードサイズのため、付属の取り付け用ホルダーによりプリンタに直接取り付けでき、生産ラインに影響を及ぼす工事が不要に。設置自由度と作業性の向上に加え、ルータ・SIMともに初期費用・ランニングコストの予算内対応を実現

閉域網による安心・安全なセキュリティ環境を確立

LTE/3G対応M2Mアダプタ「EA01A」の出荷時に割り当てる機器固有パスワードとネッツワイヤレスの閉域網により、外部からの攻撃を受けにくい高セキュアなネットワーク環境を確立

保守サービスの効率化にも貢献

EA01Aを使用した通信により、クラウド上の新サービス「PrinterNet」にてプリンタの運用状況やエラー情報を遠隔地からも把握できるようになり、迅速で的確な保守対応が可能に。さらにルータとSIMのパッケージ化により設置作業の効率化も実現

システムイメージ

LTEルータと閉域網回線サービスを使用し、リンクス8900からPrinterNetへ接続。お客様オフィスや工場からだけでなく、ALMARQから機器状況の確認が可能に — 遠隔監視システムのイメージ

本事例に関するお問い合わせはこちらから

お問い合わせ

事例の詳細

導入前の背景や課題

営業・技術の両輪で“顧客ファースト”な対応を目指す

アルマーク株式会社　マーケティング部　係長　寺西利博氏 — アルマーク株式会社
マーケティング部
係長
寺西利博氏

産業用インクジェットプリンタやマーキング装置を販売する専門商社のアルマーク株式会社様。海外大手メーカの日本代理店として、食品包装業界を中心に、化粧品や自動車部品、建材など、幅広い分野の生産現場において、賞味期限や消費期限、製造番号などの印字用途で使用される機器類の輸入販売と、保守・点検業務を行っています。

同社の特長は、顧客ごとに専任の営業と技術担当者を配し、顧客ニーズに配慮したソリューション提案を行う点。マーケティング部の寺西利博係長は、次のように自社について話します。

「手がける機器類は製造工程の最終段階で使用されることが多いため、不具合の発生はお客様の稼働計画に直接影響を及ぼします。年1回の定期点検に加え、問題発生時に迅速な対応を行うためにも、営業と技術担当者間の密な情報共有と、顧客ファーストを念頭に置いた対応を心がけています」

クラウドを使用した新サービスの採用決定を機に機器選定を開始

今回のLTE/3G対応M2Mアダプタ「EA01A」と法人向けモバイルネットワークサービス「ネッツワイヤレス」導入は、同社が取り扱う産業用インクジェットプリンタの新製品「リンクス8900 PrinterNet」（英リンクス社製）の発売に向けたものでした。

2019年5月に発売した「リンクス8900 PrinterNet」は、クラウドを利用した新サービス「PrinterNet」に対応。プリンタの遠隔操作や稼働状況の管理を実現するため、顧客側のネットワークを利用することが前提となっていました。しかし導入先である工場の製造ラインは、製造の“心臓部”でもあることから、セキュリティ面での配慮が重要です。

さらに、業種や生産品目、事業規模によって、通信環境だけでなく温度や空調などの室内環境や管理・制御体制も大きく異なります。そのため、顧客側に価格・設置の両面で負担をかけずに、既存の製造ラインに影響を及ぼさないような通信ネットワークとのセット導入が求められていました。

選択のポイント

回線サービスとのセット提案が決め手に

アルマーク株式会社　情報システム部　係長　葛馬慎介氏 — アルマーク株式会社
情報システム部
係長
葛馬慎介氏

そこで同社では、2018年初めから検討を開始。最初に5社程度のLTEルータを比較し、そこから2社に絞り込んで機能評価を実施しました。通信サービス自体は同社が負担する、との方針であったため価格も大きな選定要素でした。しかしその課題を残したまま、2018年末の段階で他社製LTEルータの採用がほぼ決定していたといいます。そんなタイミングで見つけたのが、「EA01A」でした。

「製造ラインの設備配置は綿密に計算し構築されているので、設置場所の確保が必要なオプションはまず受け入れてもらえません。EA01Aはカードサイズで場所を取らないうえに、競合他社製品と比べ低価格という点が大きなポイントでした」と、寺西氏は振り返ります。

早速問い合わせたところ、NECプラットフォームズからはEA01Aだけでなく、NECネッツエスアイが展開している法人向けモバイルネットワークサービス「ネッツワイヤレス」を組み合わせた無線ネットワークの一括提案がされました。

情報システム部の葛馬慎介係長は、「ネットワーク管理の視点からは、『極力外部ネットワークとの接点を持たない』という製造現場の特性を考慮し、機器の安定性と無線自体の安全性を重視していました。NECグループのこれまでの実績から、機器類の動作や稼働の安定性は実証済みです。

さらに、提案されたネッツワイヤレスは法人専用として閉域網が構築されており、一般的なSIMよりも安全で安定した無線ネットワークを実現できることがわかりました。各EA01Aが持つパスワードの管理と合わせてセキュアな運用ができることが、今回採用した一番の理由です」と説明します。

最終的には、LTEルータとSIMも含めた初期費用やランニングコスト、技術・セキュリティ面も担保できる回線サービスが一括で導入できることが採用につながったといいます。

導入後の成果

プリンタに直接取り付けでき、回線工事も不要

実際の現場では、小型のEA01Aはプリンタ背面に取り付けができるうえ、USBケーブルで簡単にプリンタと接続できます。回線工事も不要でアンテナも内蔵していることから、設置すればすぐに「PrinterNet」のサービスに接続することができます。「専用の取り付け用ホルダーがあることも、現場での作業を容易にしてくれています。また－20℃～60℃という広温度範囲なので、工場内環境に左右されることなく導入いただいています」（寺西氏）

セキュアでストレスフリーな通信ネットワークを確立

導入から約半年が経過しましたが、通信ネットワークについてのトラブルもありません。葛馬氏は、「法人に特化した閉域網なので安心して導入でき、当初不安を感じていたSIMについても安定していて、通信速度も速い。設置環境に依存することなくストレスフリーな通信環境が整備できています」と、その信頼性を確認するとともに、「新サービス展開を準備するうえで妨げとなることもなく、ワンストップで機器・通信サービスが導入できるメリットを感じました」と言います。

現場担当者の作業効率向上にも寄与

同社側にも大きなメリットがありました。今回の機器採用で「リンクス8900 PrinterNet」のセキュリティへの不安や設置場所の制限が大幅に減り、「PrinterNet」利用の可能性が広がりました。例えば複数のプリンタが設置されている製造ラインや、クリーンルームといった閉鎖空間に設置される場合でも、スマートフォンやPCで確認・操作できるため、「現場に行く前に稼働状況を確認し、トラブルの原因を見極められるため、技術担当者の対応がより早く、的確にできるようになりました」と寺西氏は話します。

また導入に際しては、①有線LAN②無線LAN③EA01A―の3つの選択肢を提案していますが、顧客が選択するのは圧倒的にEA01A。その結果、「有線・無線LANを選択した顧客には、配線工事や導入についての重要事項説明が必要になりますが、EA01Aを選択してもらえればその部分が不要になります。取り付けも簡単なので、現場担当者からは『手間がかからないのがありがたい』という声が上がっています」と、営業面の業務効率化にもつながっています。

パッケージによる安心・安定化＋簡単施工で提案強化

2019年5月から「リンクス8900 PrinterNet」の販売を開始した同社ですが、当初の販売計画を上回るほどの引き合いだといいます。寺西氏は、「設置スペースや配線工事が不要でプリンタ導入の妨げにならないという点が、今回得られた成果であり、そのことが販売台数を伸ばすことにもつながっています。生産性や業務効率向上を目的とした機器のネットワーク接続や稼働状況の見える化が進む中で、今後EA01Aを横展開する可能性は十分にあります。「PrinterNet」の機能拡大に対応する形でも、さらなる活用を目指したいですね」と今後について話します。

葛馬氏も「顧客ニーズは安心・安定化が第一です。その点において、NECグループの技術と実績に裏打ちされたルータとSIMのパッケージ提案は非常にメリットある内容だと感じていますし、私たちも安心して顧客に装置やサービスを提供することができます」と締めくくりました。

お客様プロフィール