サイト内の現在位置

内田と松本とコルソス内田と松本とコルソス

進化するコルソス、開発現場の舞台裏

2025年12月23日

1972年12月に誕生し、現在もさまざまな設備の監視装置として活躍しつづける遠隔監視制御システム コルソス。当初は警備会社向けの通報装置としてスタートしましたが、時代の変化とともに用途が広がり、現在では下水道のマンホールポンプを中心に、工場の生産ライン、鉄道の券売機や空調、養鶏場の温湿度制御設備など、幅広い分野で採用されています。

この11月に最新機種CSD12がラインアップに加わりさらなる進化を続けるコルソスについて、企画・開発の舞台裏を2人の社員に伺いました。

50年以上のロングセラー製品 次の一手へ

コルソスは発売当初、電話回線を利用して警備会社に通報するための製品でした。その後、「ネットワークを介して遠隔地にいる保守員へ通知したい」「遠隔で設備の状態を確認したい」といった新たなニーズにも対応するようになり、音声での通知方法からメールでの通知方法へシフトするなど、時代とともに搭載する機能も変化してきました。
コルソスシリーズは1972年の販売開始から累計12万セット以上を出荷しており、市場環境に合わせてユーザーの声を形にしてきたことが長年使用されてきた所以と言えそうです。そのような進化を続ける中で、2016年に販売を開始した従来モデルCSDJシリーズも徐々にプラットフォームの性能限界に達し機能拡張が難しくなってきたため、新機種を製品化する必要が出てきました。

パブリック事業部門 パブリックプロダクツ統括部 松本 秀則

パブリック事業部門パブリックプロダクツ統括部 松本 秀則

パブリック事業部門 パブリックプロダクツ統括部 内田 佑一

パブリック事業部門 パブリックプロダクツ統括部 内田  佑一

新製品を開発するにあたって、お客様の要望を集めるところからスタートしたと語るのは、2015年からコルソスのソフトウェア開発に携わっているパブリック事業部門パブリックプロダクツ統括部の松本。
「当社全拠点の営業へ、お客様ニーズについてのヒアリングを行いました。その情報をもとに従来モデルと同程度に価格を抑えつつ追加できる機能を熟考し、2年に渡る開発期間を経て新製品CSD12の発売となりました。」

お客様の声を形にするこだわりとジレンマ

近年、現場の人手不足が深刻化する中、遠隔監視の需要はより一層高まっています。さらに、インフラ設備の老朽化も進みつつあり、設備が故障する前に異常を検知し適切に更新することは安全・安心な社会システムを維持するために欠かせません。

コルソスのハードウェア・ソフトウェア開発を経て現在本製品の企画を担当する同統括部の内田は、新製品への機能追加について「従来のように故障してから通報したり対応したりするのでは修理や交換の費用が膨らむだけでなく、設備停止によって全体の運営に支障をきたしてしまいます。特にインフラ関連設備では、停止することで社会インフラへ影響を与える場合もあり、そうなると地域のみなさまにご迷惑がかかってしまいます。こうした背景から、お客様からは稼働を止めず、計画的に設備更新を行いたいという要望があっただけでなく、自分たちとしても予知保全へのシフトについて強い思いがありました」と語ります。

松本も、営業へヒアリングする中であちこちから故障予知というキーワードが挙がっていた、と言います。展示会などに足を運びさまざまな企業の予知保全を調査する中で、「一般的な予知保全機能はAIで行うことが主流です。吸い上げたデータをクラウド上で管理し解析するというものが多いのですが、これだと導入コストがかさんでしまいお客様が費用対効果を感じづらい状況にあると考えていました。」と振り返ります。

コルソス開発に関するジレンマを語る松本と内田

新機能「予知保全」のヒントは社内にあり

松本も内田も新機種の機能追加についてお客様にメリットを感じてもらうには、費用対効果を感じてもらいつつ、予知保全の機能を搭載する必要があると考えていました。また、予知保全機能をお客様自身で設定・運用できるようにすることも課題でした。現場で使いやすく、導入しやすい方法を模索していたところ、社内のある現場改善活動が目に留まりました。

それは、現場の設備保全業務をDX化するというもので、まず手書きで記録していたメーターの値をスマートフォンなどでデータ収集・電子化。集めたデータを活用し、設備の異常を検知するために相関関係を視覚化して分析するという手法が採用されていました。「例えば大型冷凍機のメンテナンスでは、配管が汚れてくると複数データの相関が崩れるため、そのズレから異常を検知するノウハウがすでに現場に蓄積されていました。」と内田は説明します。

この取り組みを知り「これだ!」と感じた松本は、すぐに担当者へ連絡を取り、具体的な方法や運用についてヒアリングを重ね、相関関係をもとに異常を検出するというコルソスの予知保全機能へと進化させました。

コルソス CSD12

コルソス CSD12

予知保全機能によるセンサ情報の相関関係を表示したグラフ
しきい値設定はお客様自身でセルを塗りつぶすことで可能となる

しきい値の図

下水道以外でも幅広い設備運用を支えるコルソスの強み

お客様が簡単にしきい値を設定し運用できる予知保全機能を備え、こだわり抜いて発売へとたどり着いたコルソス CSD12。水位・流量・温度センサなどの多様な計測情報を統合的に監視できるため、いろいろな場面で活躍できるといいます。

内田は、コルソスの活用について次のように語ります。「コルソスといえば、下水道設備の遠隔監視というイメージが強いかもしれません。しかし実際には、工場の排水や空調の設備、駅の券売機や駐車場設備、養豚場・養殖場・病院など、本当に多種多様な現場で活躍しています。予期せぬトラブルが発生しやすい機器でも、機器が備えるデジタルやアナログ信号をそのまま活用し後付けで簡単に対応できる仕組みや汎用性こそ、コルソスならではの大きな魅力だと感じています。」

また、お客様から寄せられる声や要望によって新しい活用方法が生まれています。コルソスは現場で使われる中で、その使い方や価値がさらに拡大し続けているのです。

内田と松本

未来に寄せる想い

松本は今後の製品開発への想いについて、次のように語ります。「設備装置の入力インターフェースを強化して、もっといろいろな遠隔監視市場で利用いただけるようにしたいですね。また、AI市場の成熟にともなってエッジAI機能の追加なども検討しています。コルソスは50年以上利用いただいている信頼がある製品であり、日本全体に安全・安心を届けていきたいと思っています。次の50年も価値ある製品を提供できると確信しています。」
このような想いと取り組みが、コルソスのさらなる進化と新たな可能性を切り拓いていくことでしょう。

本コラムでは、遠隔監視制御システム コルソスの当社の取り組みと、製品開発へのこだわりについてお伝えしました。
NECプラットフォームズは、これからも最新のハードウェア製品やソリューションの提供により、安全・安心・公平・効率という社会価値の創造と持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。

  • 記載されている会社名、製品名、サービス名などは該当する各社の登録商標または商標です。
  • このページに掲載されている情報は公開日時点の情報であり、時間の経過または様々な後発事象によって変更される可能性があります。あらかじめご了承ください。