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開発現場のリアル 顧客満足を追求する二人の挑戦
2025年9月8日
DX(デジタル・トランスフォーメーション)が加速する今、あらゆる場面でコンピュータが大規模なデータを高速で処理しています。こうした中でデータをクラウドに送信するのではなく、IoT端末や利用者の近くに設置されているサーバでリアルタイムに処理する「エッジコンピューティング」の活用が必要不可欠になっています。
この市場ニーズに応えるエッジコンピューティングに最適なプロダクトとして2020年に当社が開発したのが「コンパクトボックス型コントローラ」。いまでは工作機器の制御や生体認証時の画像データの処理などを中心に、さまざまな分野で導入が進んでいます。企画・開発を担当した2人の社員を通して製品化までの道のりと、多様な現場で活用される背景について紹介します。
コンパクトボックス型コントローラはなぜ生まれたのか
開発を手掛けたITプラットフォーム事業部門事業開発統括部の遠藤は、当時を振り返り次のように語ります。「本製品が誕生する前、私が携わっていた製品は、市場ニーズをもとに製品化した“カタログ品”か、お客様からの要望で開発受託する“フルカスタム品”でした。しかし、カタログ製品では物足りず、費用を抑えつつも開発期間の短いセミカスタム製品を必要としているお客様もいるはずではと考え、そのニーズに応える製品を作りたいという思いで行動に移すことにしました」


エッジ側で処理する端末としてさまざまな場所や機器に組み込めるようにデスクトップよりはるかに小さいサイズのパソコンで、必要なものは後付けすればよい、というコンセプトで紙や3Dプリンタで作成したモックアップを手に、製品化への熱意を社内に伝えて回りました。しかし順風満帆ではなく、始めはさまざま課題を指摘される日々が続いたそうです。そうした中でも遠藤は「エンジニアとして“そんなものできないだろう”と簡単に言われるのが嫌いなので、反骨精神で“また挑戦するぞ。ほなやろか!”という思いで動いていました」と当時の心境を語ります。
一つの突破口になったのが、お客様のニーズをつかんでいる事業部門のメンバーを巻き込んだことでした。いま考えている製品が必要とされるか意見を聞きながら模索を続けた結果、当初のコンセプトを活かしつつ紆余曲折を経て構想から2年で製品化にいたりました。
開発と企画の「あと1cm」の攻防 より高い顧客満足度を目指す
本製品の企画を担当しているITプラットフォーム事業部門事業開発統括部の渡辺は「初めて製品の実物を見たときに、率直に “ビジュアル的にシックでカッコいい!”って思いましたね。自分たちで企画・開発してこういう製品を作れるのか!という素直な驚きがありました。そして、やはり製品化するうえでは、市場のニーズと自分たちの価値(強み)が出せるのかは意識しています」と話します。
新機種をリリースする過程でも、お付き合いのある販売店、エンドユーザーからのさまざまなフィードバックを取り入れ、製品に反映しています。その1つが筐体のサイズです。


まさにこのサイズ感こそがお客様の求める声を反映したものであり、同時に開発部門を悩ませる部分でもあったといいます。渡辺は当時を振り返りながら「“お客様が求めるサイズまであと1cm!この大きさに詰め込んでください!”と遠藤を説得しました」と語ります。
渡辺の話にうなずく遠藤も、「開発側からすれば、現行機種と同じ筐体サイズを維持しつつ性能をアップデートするということは簡単なことではありません。でもお客様の声を直接聞いているのは企画のメンバーであり、そこは応えないといけない、と強く思いました」と続けます。
お客様の困りごとはなにか、どうすれば満足していただけるかを常に意識し、お互い妥協しない姿勢で臨むことがNECプラットフォームズの強みのひとつです。
エッジ端末として多様な場面で活躍するコンパクトボックス型コントローラ
IoT端末は高負荷処理が難しいというものが多い中、本製品は小さいサイズでありながら高性能なエッジ端末として機能するため、さまざまな場面でDXを実現できるとして多様な分野で採用されています。
たとえば、農業ロボットへの採用事例を始め、顔認証を処理するエッジ端末や、入退ゲートシステム、ローカル5Gの制御端末として使用されています。また、精密機器のコントローラとして組み込まれているほか、大規模量販店の安全を監視する端末や、防災関連の情報を処理する端末など利用される場面がどんどん広がりつつあります。

市場拡大への可能性について、渡辺は次のように語ります。「パソコンは特定の業種や業態に限らず使用されていますが、本製品も同じ位置付けです。例えば、モビリティの分野では高温や振動に耐えられるコントローラが求められますし、公共系であればハードそのものではないですが長期で保守してほしい、あるいは、故障時に現地で対応してほしい、というニーズがあります。領域ごとに求められるコントローラがありますが、それぞれの領域に適した形で供給していけたら良いなと思っています」
本コラムでは、エッジコンピューティング市場における当社の取り組みと、製品開発に込めた情熱をお伝えしました。NECプラットフォームズは、お客様の多様なニーズに応えるため、技術革新とともに信頼関係を構築し続けることを大切にしています。これからも強みを活かし、安全・安心・公平・効率という社会価値の創造と持続可能な社会の実現に取り組んでいきます。
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