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タキゲン製造株式会社 様

19インチ可搬ラック 開発協業事例

各種通信・電子機器を厳しい輸送環境から守る“可搬ラック”を開発
ものづくりの企画力とメカニカル設計力の融合で実現

事例の概要

業種: 製造業 業務: 設計・開発・製造 物流 製品: スキャナ 組込みシステムソリューション ソリューション・サービス: 開発生産受託

産業用金具で有名なタキゲン製造様は、“ニーズをすぐカタチに”をモットーとしています。このたびタキゲン製造様とNEC/NECエンジニアリング(以下NECグループ)が協業し、「可搬ラック」を共同開発しました。

可搬ラックは、過酷な輸送環境下でも、各種電子・通信機器を安全に現場に運び、蓋を開ければすぐに運用できる使い勝手に優れ、拡張性を備えています。両社は今後も、それぞれの得意分野を活かした緊密な協業で、幅広く新製品開発に取り組む予定です。

課題

  • NECグループでは、これまで防災や医療、放送などの現場で、高価な海外製の各種可搬ラックを利用してきたが、耐環境性に優れた可搬ラックを低価格で使い勝手のよいものを選びたい

  • 可搬ラックを共同開発するにあたり、優れた金属製品の設計・製造技術を持つ会社を開発パートナーに選びたい

成果

19インチラック用のパネルシャーシが取付け可能なインナーシャーシと、防水、防塵などの機能を備えた頑丈なアウターケースを組み合わせ、特殊な型材を採用することで、使い勝手に優れ、拡張性を備えるばかりでなく、海外製より低価格で短納期な可搬ラックを開発。

金属製品に関する経験豊富な設計・製造技術を持つタキゲン製造様を開発パートナーに選び、操作性や運搬性などの仕様検討、強度解析や振動解析などをNECグループが担当。互いの強みを活かした協業により、求める条件の製品化を実現しました。

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事例の詳細

協業前の背景や課題

通信機器類などを収納したまま運べる、軽量、コンパクト、堅牢な可搬ラックを開発したい

タキゲン製造株式会社 製品設計部 設計2課 課長 瀬川 志朗 氏
タキゲン製造株式会社
製品設計部
設計2課 課長
瀬川 志朗

産業用金具のトップメーカ、タキゲン製造株式会社様は、配電盤、分電盤などの密閉用筐体に欠かせないハンドル、蝶番、錠前などを主に販売し、新幹線をはじめとする車両向けの特注部品も製造販売しています。

こうした実績を持つタキゲン製造様とNECグループは、お客様からの要望の強い、防振、防水、電磁波、放熱対策などが施された耐環境性に優れた可搬ラックを共同開発しました。

製品設計部 設計2課 課長の瀬川志朗氏は、可搬ラックの開発について次のように語ります。

「設計2課は、カタログに掲載されていない製品開発を専門に担当する部門です。弊社の金属製品の設計技術や金型製作の高い技術が見込まれたことと思います。弊社にない製品企画や解析・評価などについては、NECグループのもつ企画力と技術力を合わせれば、十分に共同開発可能と考え、即座に承知しました。

具体的に依頼されたのは、通信機器や映像・音声機器などをケースに収納したまま現場に運び、簡単に組み立ててシステムとして運用できること。軽量、コンパクト、堅牢であること。さらに、配線や接続が簡単にできるように前後の蓋が開けられ、簡単に積み重ねができて変形しないことなどの要件でした。また、特に大きな振動の発生する飛行機やヘリコプター、トラックなどでの輸送にも耐える可搬ラックの開発も依頼されました。この可搬ラックの開発も可能であると考えました」

協業に至るポイント

実績があり、安心して協業のできるNECグループと技術的役割を分担

ラック外観写真です。
可搬ラック

これまでもNECグループは、タキゲン製造様の製造技術を高く評価し、企画した特殊用途の部品開発を依頼してきた実績があります。一方、タキゲン製造様は、共同で開発した製品をカタログ化して製造販売するなど、双方にとってメリットのある協業を続けてきました。

今回の可搬ラックの開発では、製品企画、仕様検討、解析・評価はNECグループが担当。一方、製造の細部設計、金型製作・試験はタキゲン製造様が担当しました。

「NECグループの製品企画を受け、細部の設計を進めていくうえで、今回は防振対策を完璧にする必要がありました。防振対策では、筐体の固有振動数に近い振動を引き起こす周波数である共振点を見つけます。共振点は金属疲労や破断につながるため、これを避けて筐体を設計する必要があるからです。共振点を見出すには、コンピュータを駆使し、シミュレーションを行います。

当社にはメカニカル設計のノウハウや技術力はありますが、大規模な解析シミュレーションに関しては技術がありません。そこで、NECグループに解析シミュレーションを担当してもらいました」(瀬川氏)

NECグループの技術

NECグループの解析シミュレーション技術で、振動や強度を解析

機器類の構造や筐体、機構の設計において、NECグループは、ICT機器の豊富な開発実績をベースとする解析シミュレーション技術を保有しています。

開発のプロセスでは、試作と実際の実験を行うという繰り返しでは、膨大な時間がかかります。そこで、解析モデルを作成し、シミュレーションを行い、得られたデータの検証を行うことで、開発期間を短縮していきます。

特に今回の可搬ラックの開発において、NECグループは、ケースに関わる強度や振動の解析シミュレーションを中心に、安全に機器類を運ぶために求められる要素の解析シミュレーションを行いました。

協業の成果

電磁波・放熱対策に優れたラック、防振二重可搬ラックを開発し、通信や医療に活用

タキゲン製造株式会社 製品設計部 設計2課 主任 藤田 祥司 氏
タキゲン製造株式会社
製品設計部
設計2課 主任
藤田 祥司 氏

今回の開発では、19インチラック用のパネルシャーシが取付け可能なインナーシャーシと、防水、防塵などの機能を備えた頑丈なアウターケースを組み合わせ、特殊な型材を採用することで、小型化・軽量化と拡張性を両立させた可搬ラックを開発しました。

NECグループは、当初の依頼目的であった耐環境性に優れた可搬ラックをお客様に提供することができました。一方、タキゲン製造様は、電磁波対策・放熱対策に優れたサーバラック「19インチ可搬ラック FD-44シリーズ」と、大きな振動から機器を守るサーバラック「19インチ防振二重可搬ラック FD-55シリーズ」の可搬ラックを発売しました。

「タキゲンの可搬ラックは、IECSC48C規格の19インチ機器が収納でき、通信機器などを収納したまま運び、現場で配線するだけで簡単にシステムを構築できます。例えば、このラックに衛星通信機器などを収納すれば、砂漠でも利用できます。ですから、災害発生時に自治体が防災拠点に運んで利用したり、放送局が必要な場所に持ち運び、即席放送局として利用したりするなど、幅広い用途があります」(瀬川氏)

また、通信、映像、音響機器だけでなく、医療機器や計測機器を収納することにも利用されています。

「19インチの機器のみならず、収納する機器に合わせてさまざまなカスタマイズにも対応しています。例えば、医療機器の寸法に合わせた可搬ラックに検査機器を収納し、患者さんのベッドの所へ持っていけば、患者さんは検査室へ移動しなくて済みます。このように、患者さんに負担をかけることのない医療にも利用されています。
一方、防振二重可搬ラックFD-55は、通信機器や医療機器を収納してヘリコプターでも安心して機器を運べます」(瀬川氏)

「私が開発に参加したのは、第二世代の可搬ラックからでしたが、医療機器メーカの制御装置の開発への引き合いがあった時などは、率先してお客様を訪問し、ニーズに応える設計を心がけました。このように、用途に応じてカスタマイズしていけるところが、このラックのよいところだと思います」と製品設計部 設計2課 主任の藤田祥司氏は述べます。

用途例のイメージです。
可搬ラック用途例

今後の展望

今後も協業を継続し、両社にメリットのあるユニークな製品を開発

タキゲン製造様は、全国に営業網を展開し、約300人の営業担当者がいます。

「営業がお客様から、いろいろな製品の開発依頼を受けてきます。新製品開発では、これからも多くの顧客からのニーズに応えるため、NECグループのものづくりの企画力や解析シミュレーションなどの技術力。そして、弊社の、製品コンセプトをスピーディにカタチにする技術力を組み合わせ、新市場を開拓できるようなユニークな製品開発を進めていきたいと考えています。

こうした協業の方法は、両社にとってメリットがありますし、今後も、どんどん良い製品づくりを行っていきたいと考えています」(瀬川氏)

NECエンジニアリング株式会社 開発担当者の声

今後も、互いの技術力を活かし、良い製品開発に取り組みます

長い協業関係を持つタキゲン製造様と弊社には、どちらにもお客様のニーズに真摯に応え、期待以上の製品を提供していこうという取り組み姿勢があります。例えば、タキゲン製造様の全国の営業ご担当者が、お客様から相談を受け、そのニーズを実現するために弊社の技術が役立つならば、どんどん利用していただきたいと思っています。一方、弊社にとっても、お客様のニーズに応える製品開発で、タキゲン製造様の力を借りた可搬ラックのような共同開発を鋭意進めていきたいと考えています。

可搬ラックに関しては、今後は例えば、可搬型の通信システムや監視システム用として、グローバル展開にも対応できる可搬ラックの開発など、NECグループには、いくつか取り組むべきテーマがあります。そのような製品やシステム開発も含め、さまざまな製品開発で協業を進めていきたいと考えています。

お客様プロフィール

タキゲン製造株式会社

所在地 〒141-0031 東京都品川区西五反田1-24-4
設立 1910年3月18日
資本金 4億6,000万円
従業員数 471名
事業内容 再生可能エネルギー設備金具/半導体・クリーンルーム金具/情報通信設備施錠金具/特装車・建設機械・錠前装置/キャビネット・配電盤ハンドル/信号機・パーキング・自販機Lock/農業・水産設備金具/グレーチング・マンホールLock/シェルター密閉金具/保冷温密閉金具/インターLockシステム/コントロールKeyシステム
URL new windowhttps://www.takigen.co.jp/

この事例の製品・ソリューション

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(2013年11月28日)

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  • NECエンジニアリングは、2017年4月1日より社名がNECプラットフォームズに変わりました。