株式会社DMM.com 様
ビルの入退館からフロアおよび各部屋への入室、複合機などの認証まで、1枚のカードで連携するシステムを実現
3Dプリントなどモノづくりのためのプラットフォーム「DMM.make」が好調な株式会社DMM.com様が、2014年11月・秋葉原にモノづくりの拠点となる「DMM.make AKIBA」を開設しました。総額5億円の機材と作業スペースを解放し、ハードウェア・スタートアップの起業を目指す人たちを全面的に支援する会員制シェアスペースです。そしてここにはNECプラットフォームズの「SecureFrontia X」が入退管理システムとして導入されています。高いセキュリティで管理でき、扉ごとに入室者のアクセスを設定することで利用用途に応じた立ち入りエリアコントロールを実現しています。
業種 | サービス業 | 業務 | その他業務 |
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製品 | SecureFrontia X | ソリューション・サービス | 入退管理 |
事例のポイント
課題背景
- さまざまな機材が設置されていることから、フロアへの入退管理はもちろん、部屋ごとに入室をコントロールできる高いレベルのセキュリティシステムが必要でした。
- ビルや各フロア、各部屋への入退から複合機まで、一連の認証機能を複数のカードを持つことなく1枚のカードに集約することが求められました。
- オープン後はスタッフがICカードの管理を行うため、分かりやすく安心できる操作性が必須でした。
成果
扉ごとに入室者のアクセスを設定できるため、個人単位、会員・スタッフといったグループ単位で立ち入れるエリアコントロールを実現しました。
ビルセキュリティと連携できたことから、フロア・部屋の入退室、複合機の認証まで、1枚のICカードで終始するシステムを構築できました。
カード発行作業を行う人ごとに設定機能を選択できるので、誤った操作をする心配がなく、内部スタッフによるスムーズな運用を実現しました。
導入ソリューション
安心・安全を確保し、拡張性に優れたセキュリティシステム
システム構成図
入退管理システム「SecureFrontia X」は、さまざまな社内システムと連携することができるのでドキュメントセキュリティシステム(複合機での出力など)はもちろん、PCログイン認証や社員食堂決済などにも利用できます。アクセス制限もグループ単位、個人単位、扉単位のほか、曜日や時間帯での設定も行えるので、要件に応じて柔軟にシステムを構築することが可能です。
また、カードリーダの蓋を無理やりこじ開けたような場合にはマスタを直ちに消去するタンパー機能が動作するため、高額な機材が設置された部屋でも高いセキュリティを発揮します。
運用に関しても、操作権限設定機能により、利用者の権限でアクセスを設定できる機能を選択できるので、初心者でもカード発行といった作業を安心して行うことができます。
今回の事例では10階と12階の2フロアを接続しましたが、離れた地域にある拠点同士でもWAN経由で連携できるので、遠距離にある複数の拠点も1つのシステムで運用することができます。
12階「Base」の個室(オフィス)各扉に設置されたカードリーダ
機材が置かれた部屋がある10階「Studio」の各扉のカードリーダは内装に合わせた仕様
この事例の製品・ソリューション
事例の詳細
導入前の背景や課題
機材へのセキュリティと扉ごとのアクセスコントロール
株式会社DMM.com
.make事業部
テクニカルマネージャー
下池 幸司 氏
「“言い訳をなくせる場所を作ろう”。これがこの場所を作った理由の一つです」。そう語るのは、株式会社DMM.com .make事業部 テクニカルマネージャーの下池幸司氏です。そしてプロデュースを手掛けた株式会社nomad 取締役 黒木達也氏と、同社 仲川孝治氏がこう続けます。「道具がない、場所がない、時間がない、お金がない、ノウハウがない。ここに来ればそんな言い訳はできない。ここには機材があり、作業できるスペースがあり、24時間オープンしている。そして投資家や実際の起業家と出会える機会があり、さらにここに集まる人たちの中から自分の知識を補完できる人とも出会える。つくりたいモノがあるけどそういった理由で前に進めなかった人たちにぜひ活用してもらいたいんです」。
そういう想いから作られたのが、株式会社DMM.com様が開設したハードウェア・スタートアップのための秘密基地「DMM.make AKIBA」です。
東京・秋葉原駅からほど近いビルに設けられたこの施設には、開発・検証・試作といったモノづくりの過程に必要な機材が揃えられています。さらにオフィススペースやイベントスペース、そして飲食可能なバーまでを完備。まさに“言い訳できない”場所であり、起業を夢見る人たちに与えられた絶好の場といえます。
2014年11月にオープンした同所ですが、施設内にはさまざまな機材を設置していることから高いセキュリティと、さらに利用者ごとに扉のアクセスを制限できるICカードを使った入退システムが不可欠でした。
選択のポイント
要件に合わせた最適なセキュリティシステムを柔軟に構築
株式会社nomad
取締役
黒木 達也 氏
株式会社nomad
仲川 孝治 氏
今回は10階と12階、2フロアにある扉すべてに入退管理システムを敷設することになりました。
10階「Studio」には工作機械が揃えられた広い作業スペースと、目的ごとに分かれて機材が置かれた部屋があります。12階「Base」はバーカウンターを備えたイベントスペースや、少人数向けの個室、フリーアドレス制のシェアスペースのあるオフィススペースです。
会員は機材を自由に利用することができますが、機材(部屋)によっては予約やスタッフの立ち合いを必要とし、中には個室(オフィススペース)を契約している会員もいるなど、扉ごとにアクセスをコントロールする必要がありました。
そして入居しているビルには独自のビルセキュリティがあり、ビルに入館するためにはセキュリティカードをもう1枚持つことになります。さらに複合機や個人ロッカーもICカードで認証するシステムを導入する予定でした。
「ここは新しいモノをつくり出す場所なので、仕組みもできるだけ今の技術を使った造りにしたかった。そして複数のカードを持つことなく1枚のカードに認証機能を集約したシステムが欲しかったんです」(黒木氏)。
起ち上げ時にOA廻りを担当したのがNEC販売特約店の株式会社西通様だったこともあり、高いセキュリティ性はもちろん、ネットワーク対応で拡張性があることや、今回の要件にも柔軟に対応できるSecureFrontia Xが採用されました。また、カードリーダの薄く小型な造りがオフィスのデザインによく馴染むこと、カードの認識スピードが速い点も評価されました。
導入後の成果
すべての認証をカード一枚に集約
本来はビルセキュリティとの共存は難しく、別々のカードを持つ場合がほとんどです。今回は同じカードに組み込むことができ1枚のICカードに入退の認証を集約したほか、ドキュメントセキュリティシステムと連携することで、複合機の認証も同じICカードで行えるようになりました。
そして認証はグループ単位、個人単位でも設定することができるので、会員、スタッフ、ゲストなどの区分で立ち入れるエリアをコントロールし、オフィススペースの個室は契約者だけが入室できるなど扉ごとにアクセスを設定しました。現在はスタッフがカード発行業務も行い、順調に運用管理を行っているといいます。
今後の展望
日本の“make”をもっと元気にしたい
3Dプリンタで制作された筋電義手や、ソールにモーションセンサやLEDを内蔵したパフォーマンス用スマートシューズシステムなど、この場所から次々とユニークなプロダクトが生み出され、ますます盛り上がりをみせています。
「オープン以降、今も右肩上がりに会員数は増えています。会員ビジネスとしても盛り上げたいので、もっとこの場所を広く認知させていきたいですね。たとえば現在はわりとライトな内容で開催しているワークショップを今後は高度なものを増やすなど、多くの方々に来ていただきたいです。どんどん参加して、どんどん体験して、どんどん起業してほしい。そして日本の“make”をもっと元気にしていきたいです」
そしてさらに、「会員の皆様によりよいものづくり環境を作っていくため、今後新しい拠点ができた際には当然1枚のICカードで連携してスムーズにご利用いただきたいです」と、仲川氏は話します。SecureFrontia Xは離れた拠点同士でも連携できるので、将来的には「DMM.make AKIBA」とともに拡張が期待ができそうです。
NEC販売特約店の声
広がるカードリーダ設置のかたち
株式会社西通
取締役部長
間地 洋一 氏
株式会社西通
ソリューション部
SI営業課
エキスパート
木田 和成氏
「DMM.make AKIBA」の特筆すべき点として、こだわり抜いた内装も挙げられます。床はアメリカから輸入した古材を組み合わせたり、壁は黒板と同じ材質を使用して直接チョークで描けるようにするなど、端々までセンスを感じさせる作りとなっています。
これらの内装を含めた全体的なプロデュースを手掛けたのが株式会社nomad様なら、そのうちのいわゆる“電気廻り”をすべて担ったのがNEC販売特約店である株式会社西通様でした。
今回、入退管理システムとしてSecureFrontia Xを導入されましたが、内装のデザインに合わせ一部のカードリーダに通常の設置とは異なる造作(ぞうさく)が求められました。
株式会社西通 取締役部長 間地洋一氏と、同社 ソリューション部 SI営業課 エキスパート 木田和成氏は、導入当時の様子について次のように語ります。
「フロアの雰囲気に合わせて一部のカードリーダにもデザインを施す必要がありました。たとえば10階『Studio』の各部屋のカードリーダはアクリル製のパネルで覆い、裏側に特殊な素材を使用する箇所もありました。当初は挙動に問題がないか不安がありましたが、何度もテストを繰り返した結果、認証スピードが非常に速く思った以上に良好な結果が得られました」
アクリル製パネルを造形に使用したカードリーダもICカードを良好に認識
10階各扉のカードリーダはパネルコンピュータと一緒に造作に組み込まれ、液晶画面には各部屋の名前と位置が表示されています。将来的にはICカードを使った部屋の予約がこのパネル上でできる仕組みを実現したいといいます。
「カードリーダの筐体が薄くコンパクトだったからこそスムーズに造作が進みました。今回の事例でカードリーダの設置に、デザイン面においてもさまざまな可能性が広がったのではないかと考えています」(間地氏)
お客様プロフィール
株式会社DMM.com
所在地 | 東京都渋谷区恵比寿四丁目20番3号 恵比寿ガーデンプレイスタワー14階 |
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設 立 | 1999年11月17日 |
資本金 | 3,000万円 |
従業員数 | 単体142名、グループ1186名(2015年3月時点) |
概 要 | 無店舗型デジタルコンテンツ配信、DVD販売、DVDレンタル |
DMM.make AKIBA
所在地 | 東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル 10F/11F/12F | |
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オープン日 | 2014年11月14日 | |
概 要 | 国内最大級のものづくり施設 (シェアオフィス、イベントスペース併設) |
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URL | ![]() |
株式会社nomad
所在地 | 東京都港区麻布十番2-9-8-902 |
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概 要 | シェアオフィスの運営、スタートアップ企業への投資および支援 |
URL | http://www.nomad.to/ |
この事例の製品・ソリューション
(2015年6月3日)