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技術情報

無線通信モジュール

無線技術概要

無線のメリット

通信は有線と無線のメディアの種類があります。
有線メディアはEthernet、USBなどの規格があり通信品質が高く高速転送ができます。ただし物理的なワイヤの引き回しの制限があります。無線は有線の様な引き回しなどの制限はありません。ただし使用する周波数帯、変調方法、転送速度などにより到達距離などが影響を受けます。両メディアの物理的特性から無線と有線は棲み分けが行われ、環境に応じて最適なメディアを選ぶことになります。

無線の最大のメリットは物理的な配線が必要ないところから、設置の自由性ではないでしょうか。有線に比べ、無線の不確実性はよく問われるところですが、有線の設置が不可能、あるいは困難な場合に、「なくてはならない」技術となります。今般の家庭で、インターネットに接続するために、新たにケーブルを引こうと考える人はどのくらいいるでしょうか?技術の進化による製品の高度化で、有線・無線の切り分け方も時間とともに変化してきています。また環境にもよりますが、無線は反射、回折して伝播するという特徴があり、有線ではワイヤが数メートル足りないので敷設できなかった!無線にしておけばよかった!などという場合があるかもしれません。それを考えると「ものは使いよう」ということでしょう。このように使いかたをある程度見極め、割り切ることができれば、無線のメリットは計り知れないものがあると思われます。

無線の課題

上記でも少し言及しましたが、無線は他の無線による干渉や金属などの障害物、アンテナの指向性の制限や近くの誘電体による特性劣化などにより、通信の到達に不確実性が生じます。見通しが良い空間での通信と比べますと、市街地などの障害物の多い空間での通信には、通信の短距離化や、一時的な通信不良などが発生します。

実測データによりますと、例えば、920MHz帯無線では見通し空間では1㎞以上到達する能力を持っていますが、市街地ですと200m前後しか飛ばない場合があります。アンテナを高いところに設置するなどすれば改善できますが、お客さまによってはそれが不可能な場合もあります。このように無線は設置する場所、使用するアンテナの特性・形状などに影響されますので、設置する前に十分な確認が必要になります。NECプラットフォームズは過去の豊富な経験と実績から、お客さまの無線システム構築をお手伝いすることができます。

国内利用電波帯

日本国内で無免許で使用できる周波数帯で、弊社が対応可能なものは主に次の通りです

400MHz帯

426MHz、429MHz、449MHzで定められたチャンネルを使用できます。制定された時代が古く、帯域が狭い・送信時間と休止時間が制限されたチャンネルがある、10mWが最大、標準規格がないなど、一般には使いにくい帯域とされています。転送速度は最大でせいぜい9.6kbpsですが、長波帯の特長で到達距離は見通しで1㎞~数㎞と言われています。

ただし市街地ではその限りではありません。古くからガス・水道などのテレメータ用途で使用され既存のシステムが稼働しています。

920MHz帯

平成22年に新たに設けられた無線帯域で902.6MHz~928.0MHzの間を下側(周波数で低い側)をRFタグ(パッシブタグと規格上では呼ばれる)、上側を通信システム(アクティブタグ)で使用するとARIBで推奨されています。電波法上では全域を使用できますが、日本国内の主要メーカがこのARIB規定に従うことに合意しており、違反すると総務省より指導などの処置を受けることがあります。弊社はRFタグと通信モジュールを製品化しています。

通信モジュール(アクティブタグ)では、(1)センサーネットワーク・スマートメータなどが使用するチャンネルと、(2)RFタグと共用できるチャンネル、の2つを使用できます。各チャンネルで電波共用の立場から種々の送信ルールが定められています。 特に(1)チャンネルのように、送信するデューティ比(空間に放射する時間の割合)が10%に制限されたチャンネル群もあり、それに準拠するように、一からシステムを設計すると大変な作業になりますが、弊社製のモジュールはモジュール内のアルゴリズムでこの制限を守りますので、お客さまはそれを意識せずにシステム設計をすることが可能です。

2.4GHz帯

無線LAN、Bluetooth®で使用されている帯域で現在最も使用されている帯域ではないでしょうか。
当社は、IEEE802.15.4(以降「802.15.4」と省略)という国際規格に準拠した無線モジュールを製品化しました。802.15.4規格は無線LAN、Bluetooth®とは異なり、「低消費電力」、「低速」なアプリケーションおよびサービスに特化した仕様です。

どういうことかと申しますと、無線LANは「大容量データ」を「高速転送」が可能で、Bluetooth®は「中程度のデータ」を「リアルタイム」(少し語弊がありますが)に転送することが可能です。携帯のハンズフリー機能などがその良い例です。

しかし802.15.4は、例えば、スイッチやON/OFF状態などの小データを一定間隔で送り、必要のない時間は省電力モードに入るといったアプリケーションに最適なのです。常に通信状態(リンクを張っていると呼ばれます)である無線LAN、Bluetooth®などは単3電池などでは動かせないアプリケーションが殆どですが、802.15.4モジュールでリモコンを作ると何年も電池を取り換える必要のない製品が可能となります。